エンデ

告知「エンデカフェ」

ひょんなことから、私が講師役としてエンデについてお話させていただくことになりました。まずは初回ということで、9月22日(土)に町田にて『モモ』についてお話させていただく予定です(詳しい日時等は下記参照)。今のところ、エンデの演劇学校時代~モモ出版…

魔法の学校の組み合わせ術

エンデのメルヒェン集『魔法の学校』の表題作「魔法の学校」の中で描かれている、魔法を使う訓練の一つを取り上げてみたいと思います。その訓練とは次のようなものです。 ジルバー先生はつぎの練習へと授業をすすめていました。それは、ある物をべつな物に変…

『ミスライムのカタコンベ』について-IwriとMisraim

エンデの短篇集『自由の牢獄』に『ミスライムのカタコンべ』という作品があります。エンデ作品の中でもぼくが好きな作品のベスト5には入る作品なのですけど、この記事ではこの作品について少しだけ書いてみたいと思います。とはいえ、全体的な作品解釈という…

「"わたし"の持続性」を読む

『エンデのメモ箱』に「"わたし"の持続性」というタイトルのメモが収録されています。このテキストについて、ぼくは長いことエンデはなぜこんなことを言っているのだろうと思っていました。この理由は、ぼくのテキスト理解が間違っていたからなのですけど、…

エンデと共同体

まず最初に以前の記事でもときおり触れていた、エンデのLebensgebärdeという言葉について、少し考えて見たいと思います。ぼくがこの言葉に興味をもったのは、ヨーゼフ・ボイスとの対談『芸術と政治をめぐる対話』の次のエンデの発言を読んだことがきっかけで…

『エンデの遺言』について考える

最近、『エンデの遺言』(以下『遺言』)について考えています。とはいえ、経済の問題(これ自体はとても重要な問題だと思いますが)についてではなく、日本のエンデ受容との関連で考えているわけです。ぼくは『遺言』には功罪あると考えていて、功の一番はやは…

エンデを楽しむための副読文献リスト的な何か

以前、エンデの思想を知るのに役立つと思う参考文献をまとめたことがありますが、だいぶ以前に書いた記事なのでかなり不足なところがあり、あれを拡張したいなぁと思っていたので、基本的に前回記事と被らないものを並べて見ました。相変わらず、チョイスは…

モラーリッシェ・ファンタジー―なぜ道徳規則は先取できないか

だいぶ前の記事ですが、『ファンタジー神話と現代』について書いた記事で、シュタイナーの哲学主著『自由の哲学』の中で展開されるモラーリッシェ・ファンタジー(道徳的想像力)について、道徳的の部分にアクセントを置くことの問題について軽く言及しました…

『鏡の中の鏡』について

ここ2、3年『鏡の中の鏡』が非常に気になっていたのですが、まだ完全とは言えませんけど、エンデの『鏡の中の鏡』について素描的にですが簡単に書いて見たいと思います。まず、この作品の特色としてミヒャエル・エンデの諸作品の中でも最もオリジナリティの…

「魔法使いの弟子の皆さんに警告!」を読む

ミヒャエル・エンデのエッセイ・詩・物語の構想・原稿・断片・書簡等を集めた『エンデのメモ箱』の中から、「魔法使いの弟子の皆さんに警告!(Warnung an alle Zauberlehrlinge)」という短いフラグメントをどう読むか、ということをやって行きたいと思いま…

「モモはなぜJ・Rに惚れたか」雑感

ラフィク・シャミの「モモはなぜJ・Rに惚れたか」を読みましたので感想を。この本については、実は随分前から知っていて、書評的なものも読んだことがあるんですが、実物をずっと読まないでいた本です。ご存じない方も多いと思いますが、エンデの『モモ』へ…

エンデとシュタイナー

せっかくなので、少し生産的な議論をしてみようということで、エンデ―シュタイナー―ゲーテというラインを見る一つの見方を概略的に書いてみたいと思います。といいますのも、この点を詳細に述べようと思えば、かなり膨大な前準備と論証が必要になるでしょう…

「ミヒャエル・エンデの貨幣観」雑感

最近出たばかりの『ミヒャエル・エンデの貨幣観』という本が、だいぶ前から気になっていたのですが、たまたま図書館に入っていたため読みました。それについて、個人的にかなり書きたいことができたので、感想がてらまとめたいと思います。 錬金術? さて、…

「ミヒャエル・エンデの貨幣観」雑感

最近出たばかりの『ミヒャエル・エンデの貨幣観』という本が、だいぶ前から気になっていたのですが、たまたま図書館に入っていたため読みました。それについて、個人的にかなり書きたいことができたので、感想がてらまとめたいと思います。 錬金術? さて、…

「永遠に幼きものについて」読書会レジュメ

テキスト選択の目的 ミヒャエル・エンデの読書会を行うにあたり、せっかくなのでミヒャエル・エンデの世界観について考えたいと思い、僕がエンデの世界観/芸術観が最もコンパクトにまとまっていると思う「永遠に幼きものについて(Über Ewig-Kindliche)」を選び…

エンデのファンタジーは空想的か?エンデの擁護とSpiel概念

さて、今日『ミヒャエル・エンデ ファンタジー神話と現代』を借りてきて読みました。内容的には、エンデのインタビュー、映画について、ボイスとの対談についてで、僕個人としてはアントロポゾーフ*1がインタビュアーのため、エンデが普通の対談ではなかなか…

ミヒャエル・エンデ研究?のための参考文献

最初に断っておきますが、これはエンデの作品を理解するためではなく、エンデの考え方を理解するための参考文献を僕の独断と偏見で選んだものです。僕が持っているもの、読んだものもあれば、もっていないもの、読んだことのないものも入ってますw要するに…

エンデ「比喩」注解-シュタイナー入門

Twitterで管理?しているエンデボットに、遺稿集「誰でもない庭」の「比喩」という文章の一部を引用しているのですが、少し見なおしてみたら、(一部を引用しているせいもあるけど)かなりハイコンテクストな文章なので、少しつらつらと書いてみることにしま…

貨幣の隠喩としての時間という解釈の一面性

「エンデの遺言」と「モモ」があの松岡正剛氏の千夜千冊で取り上げられた。松岡氏は最近積極的に資本制に関わる著作について千夜千冊しているので、当然、エンデの貨幣と経済システムへの問題意識に関する部分が取り上げられた。で、僕はそれを読んで、多少…